童友社 1/700 アクラ級を作る
童友社の1/700 アクラ級攻撃型原子力潜水艦を作ってゆきます。
アクラ級は1971年に計画が始まったソビエトの第三世代の攻撃型原子力潜水艦(SSN)で、同じく第三世代型のSSNであり前級にあたるシエラ級が船体にチタンを用いた結果、工作難度の高さから建造できる造船所が限られ、また価格高騰のため当初予定であった30隻の配備が実現困難となったことから、船体の材質をチタンからスチールへと変更した艦として誕生しました。1番艦であるアクラは81年に建造が始まり84年に就役しました。改良型も含め15隻が建造され5隻が退役、6隻が修繕、4隻が運用中とされています。以前はインド海軍が1隻リースしていましたが、事故により返却され、現在はソビエト解体によって滞っていた1隻の建造を再開し完成後再度リース予定となっています。
当然ながら同型艦はさらに増える予定でしたが、ソビエト崩壊により建造が中断し、そのうち建造中であった2隻の船体は弾道ミサイル搭載型原子力潜水艦(SSBN)であるボレイ級に流用されました。
因みにアクラ級とはNATOが名付けた識別用のコードネームでソビエト(ロシア)では971型潜水艦シュゥカで意味はカワマスです。シエラ級は975型潜水艦バラクーダで意味はカマスです。日本語だとカワマスとカマス一字違いですが、カワマスはサケ科の淡水魚(一部の種類は産卵時には海水域で過ごすそうです。)、カマスはカマス科の海水魚と全く別の種類なのでなんだか難しいですね。
余談ながら、アクラ級は東芝が共産圏への輸出が認められていない工作機器を不正に輸出し外交問題にも発展した、東芝ココム違反事件によってもたらされた機器によって静穏化が図られ、米国の主張によると既存のソビエト原潜に比べ騒音が半減したそうです。2012年には米国の目と鼻の先であるメキシコ湾で1か月に渡りアクラ級が米国に探知されずに活動を行っていたことが明らかになり問題となりました。また潜水艦自体の比較対象も米軍の同世代に当たるロサンゼルス級ではなく、最精鋭であるシーウルフ級や最新鋭のバージニア級が比較になるなど、既存のソビエト原潜とは一線を画す、米国の原潜技術にソビエトが追い付いた、ソビエトにとっては誇り高い、NATO諸国や日本と言った近隣諸国にとっては頭の痛い潜水艦です。
このキットは童友社の世界の潜水艦シリーズとして販売されていますが、このシリーズは中国のホビーボス社のキットを童友社がりパッケージしたものです。1,000円前後と比較的リーズナブルかつ船体は上下2パーツの最中構造なので組み立てが容易いため、ふと思い立った時にすぐに作って完成させることができると言う、手先が寂しい時にピッタリなキットです。
GOOD
- 少ないパーツ
BAD
- 上下の合わせ目に段差ができる
潜水艦をイメージしたかのようなパッケージの塗装に、海上を進むクジラさながらの姿を描いたパッケージが目を惹きます。このプラモデルですが、驚くことに食玩もびっくりなパッケージの裏側に組み立て説明と塗装指示が記載されています。
キル、ハル、ヌル!潔いですね。
パーツもこれだけですが、潜望鏡や通信アンテナを展開した状態と、潜舵が長い状態と短い状態を選んで組み立てることができます。そして潜水艦の丸っこいボディーがきちんと展示できるように展示台も付いています。
パーツもバリや傷もなく、モールドも綺麗でクッキリしていて、見ていて気持ちがいいですね。ただプロペラは、そこにゲート付けなきゃダメでした?…組み立ては上下を貼るだけなので一瞬で完成です。とは言え上下のパーツの精度はいま一つなのか若干段差が発生します。
白いラインですが、塗装後に塗りましたが、普通は白の後に何ミリかの幅のマステでビーっと覆ってしまう方が楽だと思います。艦首の曲線の鋭角は曲線用マステでも追従が難しいくらい急で少しガタガタに。アンテナ等は格納状態を選びましたが、折れる部分の無い格納状態で正解でした。船体は曲面で滑るので船体をクリップで押さえると圧に負けてポンっと飛んでしまい、床に落ちてしまったり… 画像によって青っぽく見えますが、ミッドナイトブルーで塗っているのでうっすら青く見えるのが本当です。スクリューはラッカーのゴールドリーフを適当に筆塗です。作り終わってからデカールの存在を思い出しました。本当はここに喫水や放射性マーク等のデカールが貼られます。
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