TAMIYA 1/72 BELL X-1を作る

TAMIYA 1/72 BELL X-1を作る

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TAMIYA社製のベルX-1を作ってゆきます。

ベルX-1は人類初の水平飛行での音速突破を目指して開発されたアメリカの試験機で、1945年に3機が製造されたのち試験を重ね47年には人類初の水平飛行で音速を突破した飛行機です。音速を越えると言うただ一つの目的のために作られた機体の外観は12.7mm機銃弾に羽根が生えただとか、V2ロケットに座席を括りつけただとか言われていますが、間違いなく45年の飛行機としては異質で、どちらかと言えば現代の航空機に似通った姿をしています。このX-1ですが、音速突破のための計画として先行していたものの開発中止に追い込まれたイギリスのM.52の研究開発資料の提供を受けているので、広い意味では米英合作と言っても良いのではないでしょうか。政府の財政難で計画中止に追い込まれたM.52ですが、こちらもX-1と同じような形になる予定でしたが、完成予想図からは個人的には存在を許してはならない姿をしている気がしてなりません。ターボジェットエンジンなので空気の取り込み口が必要なのはわかるが、その形は脳が拒否する。
47年に初の音速突破を果した機体46-062は操縦していたパイロット、チャックイエーガーの妻の名前にあやかりグラマラスグレニスの愛称で呼ばれていました。プラモの機体の色はオレンジとも黄色ともとれる色ですが、実機はカラーコード#FF4F00インターナショナルオレンジと呼ばれる鮮やかなオレンジ色を纏っています。この色は以前NASAで使用されていたスペースシャトルオービターのクルーが離発着の際に着用していたスーツの色と同じ色なので実機は目を惹く派手な色でさぞ目立ったことでしょう。余談ながら東京タワーに代表されるよな電波塔や鉄塔の白と赤のツートンも同じインターナショナルオレンジですが、こちらはカラーコード#BA160Cとより赤みがかったオレンジ色で同じ色名ながら違う色で少しややこしいですね。

このキットはSR-71でも触れましたが、タミヤウォーバードコレクションとして販売されていますが、元はホビースポットUと言う模型店が販売していたキットの金型をタミヤが引き取り販売しているもので、金型はタミヤ製ではありません。このホビースポットUはX-1の他にXF5U-1と言うこれまた特徴的なシルエットでフライングパンケーキの愛称で知られた機体のキットを販売していましたが、そちらの金型はハセガワが引き取り販売していました。プラモデルの金型は1商品分で500万円とも1,000万円とも言われるので、1模型店が独自に金型を作り実機のメーカーと販売交渉までおこなってしまう、それも2機もとはバブル恐るべしとでも言うべきでしょうか。発売された機体はどちらも、通常の軍用機とは異なる、一風変わった形と色をしているので、店頭に並んで居れば思わず手に取って買ってしまいたくなる、それでいて大手プラモデルメーカーが作らない無いようなニッチな機体なので、旨い所を突いたなと感心してしまいます。実際に両方の金型ともタミヤとハセガワに引き継がれ、今もこうして手に取ることをできるのは、優れたチョイスと金型精度の賜物ではないでしょうか。
どれがタミヤ製でどれがイタレリ製なのかややこしいウォーバードシリーズですが、英語版のWikiにはきちんと記載されています。まあ日本だと間違って買っても精々1,000円程度なので笑って済ませられますが、外国で買うと3,000円くらいになりますからね。プラモ選びも慎重になるってものです。

800円弱(再販したら1,000円超えるかも)で模型店に並んでいたのを買って積んで置いたものですが、Amazonのリンクを貼ろうとしたら中古で25,000円と言う目を見張る金額が…

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ランナー2枚とデカールにスタンド、重りが付いて800円しないので、お得なキットです。ボディーが2種類入っていますが、別に2機セットとかではなく、透明ボディーにしたら中身が見えるよと言う親切心で2種類入っています。これキャノピーとかも見るに同じ金型でクリアとグレー2種類作ってますよね?基本的に重りは自分で調達してねスタイルが多い航空機のキットにしては機体用に専用の重りが入っているのも嬉しいですね。
このX-1は模型店で箱潰れ状態で放置されていたのを買ったので、デカールも変色しています。
別の模型店で買ったX-1のデカールと見比べると変色具合が判りますね。地味に株式会社の英語表記が変わっているので、生産時期は今回作るキットの方が古いようですが、それにしても今思うと売り物の管理がいい加減な店でしたね。クチコミの評判も今一でしたし。もう1個のキットを買った模型店はオフィスかと言いたくなる照明と陳列だったので、プラモの扱い一つとっても模型に対する愛着が違うなと。まぁその分定価で1,000円強しましたが。
これは完全には元には戻りませんが、紫外線を浴びせるとある程度は元に戻るので、太陽に当てて数日放置することにしました。
試験機なのでアメリカ空軍以外にもベル社のロゴが目立つ所に入ります。NACAはアメリカ航空諮問委員会と言う航空技術推進研究のための組織でしたが1958年に解体されNASAに引き継がれました。1号機が空軍、2号機がNACAで超音速域への飛行を目指してテスト飛行を行われていたので、NACAのロゴが入るのは2号機ということになります。
パーツには目立つバリ等もなく綺麗なランナーです。モールドも繊細ですがクッキリ。内部パーツも再現しているので、タンクなどのパーツも付属しています。

クリアパーツも綺麗です。ボディはモールド消え気味で、後で判りましたが、組み立ててヤスリ掛けしたら完全に消えました。折角ボディーが2種類あるので、モールドの彫り直しをしても良かったなと。単色で墨入れしないとのっぺり。
キャノピーは初期型と後期型や2,3号機用で2種類入っていますが、どちらも凹凸がほとんど無いので、マスキングゾルや切り出しは困難です。マスキング販売がX-1のマスキングを販売しているので、素直にそれを使う方が楽です。

800円なのにクリアパーツと通常パーツを使って作り分けが出来るのは凄いです。

重りは機首ではなくボディに納めますが、タンク内に内蔵すると言うスケルトン仕様にしても重りが隠れる仕様。普通に組み立てる場合でも内部の部品が梁代わりになるので、最中構造のボディーを貼り合わせてもズレにくいのも嬉しいですね。

V2ロケットに翼とコクピットを括りつけたとも揶揄されるX-1なので、なんとコクピット座席が無く床に直接座ります。乗り降りもキャノピーが開閉するわけではなく、コクピット右側に設けられたハッチから出入りします。それでこのキットもコクピット右側の側面だけ別パーツになっているようです。
因みに似たようなイギリスのM.52は計画だと機種先端に寝そべって飛行させる予定だったので、座れる分マシです。
内部構造があるおかげで上下ともに合わせ目がほとんどないのでサクサク組めるのも良い感じですが、翼のノリシロがほとんど意味を成していなく、接着が上手くいかないのが難点です。この後パテで成型するのも大変だったので、隙間ができるのを承知で真鍮線で固定してしまいました。
塗装時ですが、キャノピーがクリア以外も含めれば4個もあるので、使わないキャノピーを蓋代わりにして別々に塗装できるのは楽で嬉しいですね。
キャノピーは微妙に隙間ができるので、余裕が有ればパテで埋めてしまっても良いかも。実機もキャノピーは開閉しないので、綺麗に均一にならされていますので。
ギア格納庫もボディに斜めに開いているので、ボディの塗装後にマスキングをして塗りつぶしやすいのも楽で良いですね。

そういえば、このキット機種先端のピトー管を差し込む部分が潰れていたので広げ直しましたが、御覧の通りU字状になってしまい、結局切り飛ばして整形し直しましたが、もう1つのキットを開けて発覚…タミヤはキチンと成型していました。箱潰れに巻き込まれて先端が潰れていただけです…プラモの箱を山積みで売るから…
オマケに塗装時にポッキリ折れてしまいました…

スタンドは今回使いませんが、前回作ったSR-71がスタンド無し飛行形態だったので、木目調に塗ってSR-71用に徴発しました。
薄い木っぽい色→濃い目の木っぽい色で木目→クリアーブラウンかオレンジでオーバーコートで簡単に木目調になります。今回は全部ラッカーで吹いたので塗装自体は30分もあれば終わりで、お手軽にランナー色そのままより高級っぽく?見えるようになるので、おススメです。機体自体はオレンジ色の単色で、ランディングギアも差し込み用の穴が太く、張り合わせ面も広いので、別で塗ったものをボディー塗装後に簡単に瞬間接着剤で付けられるので、あっという間です。
絶妙な重りのお蔭で、尻もちを着かずに、ほんの少しだけ地面と機体にクリアリングがあると言う状態を保ってくれています。
今回オレンジ色はアクリジョンの黄なんとか色?を使いましたが、エマルジョン系なのでノズルに塗料が貯まりやすい以外は、乾燥も早いし吹きやすいし、匂いも無いしで感動しました。エアブラシの場合は希釈は塗料1に対して溶剤0.3厳守らしいのですが、薄めると普段と同じ牛乳と同じ感じだったので、見た目的に同じ感じで希釈出来ていればOKそうです。MMPみたいに1滴単位で出るようなボトルなら正確に希釈出来るのに…
このオレンジ色、最初に吹いた時はピカチュウと同じような黄色で、何度か吹き重ねるにつれ、オレンジへと発色してゆくので、吹き付け度合いによって色が変わるのが面白くも厄介でした。最後に筆でタッチアップしたら筆塗の部分だけ露骨に色が濃くなってしまい、筆でのタッチアップは要注意ですね。
天日干ししたデカールも透明部分に若干色が残りましたが、ボディがオレンジ色なので気になりませんでした。砕け散らなくて良かった。 見えない裏は何もしないお手軽仕様です。スジが消えてしまい墨入れは無理そうだったのでパネルラインと思しき辺りは、濃くなるように吹いたものの今一つ判らなかったですね…単色の機体は墨入れしないとのっぺりとしてしまいます。
12.7mm機銃の弾丸ともV2ロケットに翼が付いただけだの言われているX-1ですが、作るとその特徴的なシルエットとボディの小ささが良く分かります。大戦中の戦闘機よりも小柄で、地面とのクリアリングもほとんど無いので、これで当初の計画通り離陸させるのは相当困難だったはず。大戦が終わったお蔭でB-29を融通でき空中発射可能になったので、本来の音速飛行試験に集中できるようになり、エンジンもロケットエンジンオンリーで済んだのでエンジンも目立たなくなり、本当に弾丸に羽根が生えたみたいです。
V1ロケットは桜花以前に飛行機から発射しているし、V1のデッドコピーも大戦中の44年には空中発射しているんですよね。そんな試験では当たり前の空中発射で桜花と似ている、桜花から発想を得た運用方法だと言うのは無茶がある…取付位置にしてもB-29の爆弾庫以外の何処にX-1を括りつけろと言うのか…

キットは翼の接合が難点ですが、それ以外はいたって作りやすいうえに、重りやスタンドなど至れり尽くせりなので、転売で6,000円も出すのは馬鹿らしいですが、新品定価なら初心者にもおススメ出来るキットです。

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